ジョルジュ・パラントにかんする雑記帖

 Souvenirs sur Georges Palante が来年覆刻されるらしい。
 旧版が手にはいらず、わたしにとってはまぼろしの書物だったので、たいへんよろこばしい。

 Louis Guilloux : Souvenirs sur Georges Palante
 Éditeur : Diabase
 Parution prévue : 10 avril 2014
 ISBN : 978-2911438936
PB162575

PB162577

 明治大学リバティータワー。大学とは思えないほど、ぜいたくな建物だ。
 ここでひらかれたシンポジウムで、知り合いの田中ひかるさん、飛矢崎雅也さんが発表なさるので、きいてきた。
 http://palante.blog37.fc2.com/blog-entry-63.html

 夕方、さいごまでゆっくりきければよかったが、わたし自身の仕事もたまっているので、午前中のみ出席し、田中さん、飛矢崎さんと、栗原康さんの発表をきいていた。いずれもたいへん興味ぶかかった。
 田中さんとは2006年の秋以来、ひさしぶりにお目にかかった。発表者、オーガナイザーとしてお忙しそうにしておられたが、少しことばをかわすことができた。
 田中さんの発表は、こんにち世界ぢゅうにひろがりつつある「グローバル・アナーキズム」という全体テーマに即しながらも、1920年代にも国民国家のわくを超えた交流が見られたこと、それがあまり研究されていないことを摘示するものであった。
 栗原さん、飛矢崎さんは大杉栄の研究者だ(大杉栄の研究者が複数集まるだけでも奇跡的ではなかろうか)。
 飛矢崎さんの発表は、6年前、論壇をにぎわせた赤木智宏氏の言説をめぐって、その思想よりも心情を重視し、大杉栄のいう「生の拡充」、「美は乱調にあり」を対置した。そして、「生の拡充」を具現化した比較的最近の事例として、「素人の乱」をあげた。
 じつは飛矢崎さんの肉声をきくのははじめてで、たいへんちからづよい話しかたをなさることにおどろいた。こういってはなんだが、わたしなどよりよほど教員らしい(笑)。
 栗原さんの発表は、大杉栄の米騒動論から出発してこんにちのニホンの状況におよぶものであったが、「社会」なるものに対する徹底して否定的な見かた(それはアナーキズム方面でもかならずしも共有されていない)が、わたしが関心をいだいているジョルジュ・パラントの思想ともあい通じるものであるように思った。
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/65027/1/D_Kohara_Kazuma.pdf

 ひさしぶりに「母屋」のページに手をいれました。
 この「雑記帖」のひとつまえの記事でもとりあげた研究書を文献一覧に追加したほか、「サン=ブリユー、イリオン探訪記」を追加しました。

 サン=ブリユー、イリオン探訪記
 http://www.ne.jp/asahi/watanabe/junya/palante/st_brieuc_et_hillion.htm
Depenne1 Depenne2


 の2冊が出版されていたことに気づいた。さっそく註文しておいた。
 シンポジウムのお知らせをいただいたので、以下に貼りつけておきます。

国際シンポジウム 「グローバル・アナーキズムの過去・現在・未来~世界とアジアをつなぐために」
http://kansaianarchismstudies.blogspot.jp/

日時:2013年11月16日(土) 10:00~17:00
場所:明治大学駿河台キャンパス リバティータワー1083教室(以下のURLを参照)
http://www.meiji.ac.jp/cip/english/about/campus/surugadai.html

報告者:ガブリエル・クーン、飛矢崎雅也、栗原康、樋口拓朗、田中ひかる
コメンテーター:山中千春、仲田教人

主催:関西アナーキズム研究会、共催:グローバル・アナーキズム研究会、
Irregular Rhythm Asylum、オペライズモ研究会。
連絡先:joh.most(at)gmail.com

主催者より:今日アナーキズム運動は欧米を中心に、中南米、東南アジア、中東、
アフリカにおいて拡大し、それは”グローバル・アナーキズム”ともいうべき様相
を呈している。この現象は、新自由主義という単一の原理に基づくシステムに、
地球上にいるあらゆる個人が、自らの意志に関わりなく巻き込まれ、支配される
ことに抵抗し、グローバルに連携することによって生み出されていると言える。
日本とアジアはこのような動向に結びつくのだろうか。日本におけるアナーキズ
ムの過去を知ることは、このような現在と未来のアナーキズムを見据える上でど
のような意味があるのか。ガブリエル・クーン氏をゲストに迎え、グローバル・
アナーキズムの過去・現在・未来を見据えながら、世界とアジアが接続する可能
性を問うのが、今回のシンポジウムの趣旨である。

より詳しい趣旨説明は、以下を参照(英語・日本語併記)
http://kansaianarchismstudies.blogspot.jp/2013/10/explanation-of-aim-in-holding-symposium.html


ガブリエル・クーンさんのトランスナショナルなアナーキズムについての言葉:
・・・それと同時に、私たちには、あらゆる経済的な違いを超えて人々と共有し
たいという多くの日常的な欲求があります。つまり、様々な階級と文化に属する
人たちと食事をともにしたい、サッカーをしたい、コンサートをしたい、デモを
したい、という欲求です。[中略]反植民地主義的でトランスナショナルな共同
体の形成は、したがって、私たちが共有している、日々の欲求や願望を出発点に
しなければいけません。このようなレベルで、私たちは結びつき団結することが
できます。この結合と団結こそが、私たちを分かつ経済的な境界線に対してとも
に戦い、私たちの分断を固定化する政治的な構造に対してともに戦うための条件
なのです(ガブリエル・クーン「フィリピンのアナーキズムとトランスナショナ
ルポリティクス」『多様性、運動、抵抗 アナーキズム論文集』2009年 from
Gabriel Kuhn, "Anarchismus auf den Philippinen und transnationale
Politik", in: Vielfalt, Bewegung, Widerstand, Texte zum Anarchismus,
Munster: Unrast Verlag, 2009, p.86)。

ガブリエル・クーン、プロフィール: 1974年オーストリア生まれのアナーキス
ト、活動家、著述家・翻訳家。著書は、甘糟智子訳『アナキストサッカーマニュ
アル』(現代企画社、2012年)ほか、ドイツ語資料集『アメリカにおける「新し
いアナーキズム」 シアトル以降』(2008年)、ドイツ語論文集『多様性 運動
  抵抗』(2009年)、世界各地のアナーキストへのインタビュー資料集(共編著)
『ジャカルタからヨハネスブルクまで 全世界のアナーキズム』(2010年)、海
賊とアナーキズムについて(夜光社より近日翻訳刊行予定)『海賊黄金時代につ
いての省察』(2010年)、『革命のために生きる ハードコア・パンク、ストレ
イトエッッジ、ラディカルポリティクス』(2010年)、(編訳)『すべての権力
を評議会に! ドイツ革命ドキュメンタリー 1918-1919年』(2012年)など多
数。

そのほかの報告者・コメンテーターのプロフィール:
栗原康:武蔵野学院大学非常勤講師。主著『G8 サミット体制とは何か』(以
文社、2008年)など。2007年のハイリゲンダムG8サミット対抗行動に参加し、
2008年の洞爺湖サミットでは国外からの活動家のコーディネート役を務める。
栗原氏の報告要旨:
http://kansaianarchismstudies.blogspot.jp/2013/10/summary-of-first-presenters-report-of.html


飛矢崎雅也:明治大学政治経済学部助教。主著『大杉栄の思想形成と個人主義』
(東信堂、2005年)など。

樋口拓朗:アナーキスト。G8対抗行動をはじめアジアや欧米各地の運動に参加。
主著「群島のアナキズム」『気流舎通信 SOMA』Vol.1、気流舎、2013年、
20-23頁。

山中千春:日本大学研究員。主著:「文学による<革命>として-佐藤春夫「美
しき町」とホイッスラーの芸術論」(『欧米文学・言語学・比較文学研究』23、
2012年、166-186頁)など。

仲田教人:早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学。反G8サミットなど多く
の行動に参加。

田中ひかる:大坂教育大学教員。主著『ドイツ・アナーキズムの成立-『フライ
ハイト』派とその思想』(御茶の水書房、2002年)など。

シンポジウムポスター
http://4.bp.blogspot.com/--LUsN39sDBs/Um-uh5c_X0I/AAAAAAAAAgU/rMkU6VT6qTE/s1600/poster.jpg
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